第2回世界将棋AI電竜戦に出場してきました

2021/11/20(土)に第2回電竜戦が開催されました。

7月のTSECに引き続き、自分も出場してきましたのでその所感をつらつらと書きます。

 

 

出場ソフトは全部で44チームで、ソフトのみ/人間のみ/ソフトと人間の合議制のパターン何れかで出場が可能。人間のみでの参加も数人いらっしゃいました。

出場者は以下にあるので気になった方は見てみてください。

golan.sakura.ne.jp

 

 

この中で自分は「Lightweight-EF」として参加していました。

こちらは、夏のTSECからいくつか修正点を盛り込んだ、ローカルPCでも戦えることを目指して作ったdlshogiのクローン「Lightweight」の改良型になります。

アピールポイントは事前提出したアピール文書に提示した通りですが、ここでざっくり紹介すると主に下記の3点です。

・DNNモデルの再構築(GhostNet→EfficientNetに変更)

強化学習の実施(TSECのLightweightでは教師あり学習のみだった)

・PUCTアルゴリズムにおける着手確率を用いた簡易枝刈り(最大UCB値選択処理の効率化)

 

DL系将棋ソフトは、AWS, GCP等のクラウドサービスを使った高級インスタンスを用意しスケールアップ&アウトした上で大会に出てくることが多いですが、ローカルPCに比べて導入ハードルが高く、また個人で負担するコストもかなり大きくなってしまうのが欠点となります。(一部HEROZさんのような例外的なパターンもありますが...)

最近はGCTの加納さんがColabo等を用いた、学習コストを抑える方法を積極的に紹介してくださっていますが、高級インスタンスを用意するハードルは依然として(特に新規参入者にとっては)高いままであると思っています。(構築手順もお金の面も)

実際に、自分もこれまでクラウドコンピューティングサービスを利用したことがなかったため、環境構築にはそれなりに時間がかかった記憶があります。

そういった背景から、「ローカルPCでも大会である程度戦えるソフトを用意したい」というコンセプトを掲げ、開発・制作・改良したものが今回の「Lightweight-EF」です。

 

 

といった前置きをしつつ、早速今回の所感を書いていこうと思います。

1日目は、2日目の所属リーグを決めるための予選となります。あくまで10位、28位が基準となり、それより上か下かというボーダ争いを全チームで行うことになります。

 

まず1日目ですが、開幕こそ2連勝したものの、そこからtanuki-チームとPALに立て続けに黒星をくらったため、急ぎ定跡ファイルを都度入れ替えて戦う(定跡で序盤ブーストかけて、有利な形かつ中盤に時間を残す)ことにしました。しかし、それでもあまり結果はふるわずに全体22位(B級決定)で1日目が終了しました。特にShotogunさんやいちびんさんとの対局では後手番となってしまい、ずるずると差を広げられてしまったように思います。

 

続く2日目は、対局開始が8:30であるのに起床が8:26となってしまい、なんとか対局開始前にLightweight-EFを放り込みました。(夜中まで友人とApexしていたせいだと思います)

2日目は1日目の反省を生かして、最初から先手と後手を見て定跡ファイルを適宜入れ替えて戦いましが、「とあるバイトの猪突猛進」に黒星を喰らった(おそらく頓死。将棋の知識がほぼ無いため、違ったらすいません)ところで、再び緊急修正することに。

最新のモデルが一番test_accuracyやlossの結果が良いのですが、その少し前の断面のモデルに切り替えました。。本業での障害対応に追われており事前に最新版のテストができなかったため、一旦最新のモデルを使っていたのですが、確実に勝ちを拾いに行くためにfloodgateで実績のあったモデルに差し替えました。

まあ結果的に、Qhapaq, PALなどの格上相手には予想通りボコされましたが...。

ただ、格上のW@nderERさん相手に白星を拾うことが出来たことは非常に嬉しかったです。(全く勝てるとは思っていなかったので)

 

そんなこんなで最終的にはB級9位、全体で見ると全46チーム中、19位という結果となりました。(C級のみ参加のソフトも含む)

夏のTSEC後に立てた「A級に入る」という目標にはまだまだ遠いと実感しましたが、少なくともTSECと比べて手応えがあったように感じています。

 

 

改めまして、GCT電竜さん優勝おめでとうございます。

また、今回お忙しい中大会の企画から運営まで行ってくださったカツ丼さんを始めとする運営陣の方々、将棋の解説・聞き手をしてくださったプロ棋士の先生方、個性的なソフトで楽しませていただいた各開発者様や人間単独で出場された皆様に感謝申し上げます。

次の大会はWSCS32になるかと思いますが、それまでLightweightも再度改良を重ねていきますので、再び戦えることを楽しみにしております。

 

 

 

P.S  人間勢強すぎワロタ(震え声)